ヨドコウ迎賓館

近代建築の巨匠の一人、

フランク・ロイド・ライト設計の

ヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)を見学しました。


ライトは、19世紀半ばにアメリカに生まれ、

日本の建築や美術から大きな影響を受けた建築家です。

日本では帝国ホテルを設計した人物として知られています。


ヨドコウ迎賓館は、

灘の酒造家だった山邑氏の別邸として、

1924年、兵庫県芦屋市に建てられました。

ライトが帝国ホテルの設計で来日した際に、

設計されたそうです。


現在は株式会社淀川製鋼所の迎賓館として

一般公開され、国の重要文化財にも指定されています。


阪急芦屋川駅を降り、

「ライト坂」という坂道を登ると、

緑に包まれた立派な門が出迎えてくれます。

木々が生い茂るアプローチの奥には、

芦屋の街並みと大阪湾を見下ろす

見事な眺望が広がっていました。


その景色を眺めながら、建物に入ります。

水盤のある玄関から階段を上ると、すぐに応接室が現れます。



天井の高い広々とした空間に、

大谷石がふんだんに使われ、

木組みや銅板を使った独創的な装飾と相まって

重厚感と温かみが感じられました。


御影石の産地が近いのに大谷石?

と思ってしまいましたが、

そこはライトのデザインへのこだわりだったようです。


この建物では、

外装、内装ともに至る所に大谷石が使われています。


このような多彩な装飾も

内装に石を使うことも、

現在の一般的な住宅ではほとんどありません。


シンプルなインテリアに慣れた身にとっては、

装飾が心を満たす感覚や、

石がもつ深みや温かみを

改めて感じさせてくれるものでした。



これも大谷石で作られた暖炉です。

ライトは暖炉に大変なこだわりを持っていたそうです。


火や緑、水を積極的に

建築に取り入れていたというライト建築の特徴が、

この建物にもたくさん詰まっていると感じました。




館内を巡って印象的だったのは、

地形を感じさせる内部空間でした。


ライトは、

山を削って敷地を平らにしたところに建てるのではなく、

地形を生かして階段状の構造にしたのです。


自然と建物の調和を目指した

ライトの建築思想が、

この特徴にも表れています。


大きな窓越しに豊かな木々を眺めながら、

地形に沿って、折れ曲がったり、

あちこち上下したりと、

建物の中にいながら、その地の自然を強く感じる

とても新鮮な空間体験でした。


少し余談ですが...

階段の写真にも写っているように、

館内ところどころに生け込みが飾られていました。

季節のお花がきれいに生けられているのを見ると、とてもほっとします。



写真:海も山も一望できる絶景バルコニー。

こんな絶景が日常にある生活、

本当にうらやましいです。



写真:食堂の天井。

天井を走る装飾(モールディング)の使い方がとても独創的です。

天井の小窓からは夜の星空が眺められるとか。



この建物は、

ちょうど100年前に建てられた住宅ですが、

多彩な居場所や、

移動にも楽しさを感じさせる空間構成、

装飾がもたらしてくれる豊かさ、

そして自然と調和しながら暮らす設計思想など、

現代にも通じる住まいづくりの大切な基本が

詰まっていると感じました。


今回は真夏に訪れましたが、

ライト建築と自然との調和を

また季節を変えて味わいたいと思います。